第4教室:『仏作文』①スタンダードフランス語講座 / ②『吾輩はネコである』

『ジュール叔父さん』と『星』の学習は終了、過去記事保存しています.た.

ジュール叔父さん(15)モーパッサン作品集より(フランス語学習)


ジュール叔父さん(15)


—————————【15】————————————————

  Mon  oncle  Jules,  le  frère*¹  de  mon  père,  
était  le  seul espoir  de  la famille,  après  en  
avoir  été  la  terreur*².  J'avais  entendu*³   parler  
de   lui   depuis   mon  enfance,*⁴   et  il  me  
semblait   que   je  l'aurais  reconnu  du  premier  
coup*⁵,   tant*⁶ sa  pensée   m'était  devenue  
familière*⁷.    Je  savais  tous  les  détails  de  
son  existence*⁸  jusqu'au  jour  de  son  départ  
pour  l'Amérique,  bien*⁹  qu'on  ne*¹º  parlât*¹¹   
qu'à  voix  basse  de  cette  période  de  sa  vie.

   
——————————(訳)—————————————————

 わがジュール叔父さんは、父方の兄弟(弟)で、
家族にとって、嘗ては恐怖の的だった人だが、
その後は一家の唯一の希望の星である.私は
幼少期の頃から、叔父についてのうわさを聞い
てきました.それで私には、叔父を見たらすぐ
にわかるような気になっていました.それほど
叔父への思いに慣れ親しんでいたのでした.叔
父がアメリカへ出立する日までの叔父の生き方
の全詳細を私は知っていました.もっとも、こ
の時期の彼の生活については大きな声では話せ
なかったのではあるが.


——————————《語句・語法》———————————————
   
*1) frère: 兄または弟; 
     邦文タイトルが「ジュール叔父さん」、
     すなわち「叔父」なので父の弟.ついで
     にいえば、「伯父」ならば父の兄.
*2) terreur: (f) (大きな)恐怖
*3) entendre: 聞く; 
     entendre + 不定詞 ~するのを聞く
        J'entends frapper à la porte. / 
     ドアをノックするのが聞こえる.
*4) enfance: 幼年時代、幼少期; 
     J'ai passé mon enfance à Paris.
          私は幼少期をパリで過ごした.
*5) du premier coup: ただちに、はじめから、
     すぐに、すぐには
*6) tant:(副)  非常に、それほど、そんなに
*7) familier(ère):(形) なじみの、慣れ親しんだ、
     親しい、打ち解けた
     精通している、よく知っている        
*8) existence:(f) 存在、生活、生き方
*9) bien que + 接続法:(対立、譲歩)
        ...ではあるが、
*10) ne…que ~ : ~でしか…ない   
*10) ne…qu'à voix basse:低い声でしか…ない
*10) ne parler qu'à voix basse:低い声でしか話さない、
    低い声でしか話せない
*10) on ne parle qu'à voix basse:
    私たちは低い声でしか話せない.
*9 *10) bien qu'on ne parlât qu'à voix basse:
    もっとも、私たちは低い声でしか
    話せなかったのだが 
   bien qu'on ne parlât qu'à voix basse de 
   cette période de sa vie. 
   もっとも、この時期の彼の生活について
   は大きな声では話せなかったのではあるが.
*11) parlât:(接続法半過去3単)  
   主節 je savais...が過去形(半過去)の
    ため従属節 bien que の中は文章語では、
   接続法半過去になります.日常会話では、
   主節と従属節が同時期なら接続法現在
   を取ります.