第4教室:『仏作文』①スタンダードフランス語講座 / ②『吾輩はネコである』

『ジュール叔父さん』と『星』の学習は終了、過去記事保存しています.た.

ジュール叔父さん(21)モーパッサン作品集より(フランス語学習)


ジュール叔父さん(21)


———————————【21】————————————————

 On l'avait embarqué pour l'Amérique,  comme on faisait
alors,  sur un navire marchand allant du Havre à New-York.
 
————————————(訳)—————————————————

 ジュール叔父さんは、そういう場合にみんながしたように
ルアーヴルから出るアメリカ行きの商船に乗り込んでしまっ
たのでした.

———————————《語句》———————————————

on:一般に「人は」という意味をもつが、その場の状況によって
  1~3人称単複様々に当てる事が出来る人称代名詞;
  ここでは「ジュール叔父さん」を指す.
  * 日本語ではわかりきった主語を言わない場合が多いが、
  その表現をフランス語でする場合、主語を立てる文構造上、
  わざとon という正体不明の主語を立てる.
  透明人称とでも言っておきます.
alors:①その当時、②それで
comme on faisait alors:①その当時、誰でもやっていたように
     ②そうなると、誰でもやっていたように
  ①、②どちらにでも解釈できます.モーパッサンはどちら
  のつもりで書いたのでしょうか? 辞書からは、どうも
  ①に軍配が上りそうですが、訳は②で訳しました.
  辞書では「その当時」という意味を第1義としています.
embarqué:(過去分詞) <embarquer (自) (乗り物に)乗り込む
   乗船する、搭乗する、乗車する        
Havre:le Havre (固有名詞) (ルアーヴル);北フランス、
   セーヌ・マリティーム県の港町;(尚、Hは有音) 
du Havre à New-York:ルアーヴルからニューヨークまで
   ルアーヴルのルという音がduで隠れていることに注意.   
marchand:(形) 商業の  
navire:(m) (大型の)船、船舶
navire marchand:(m) 商船、貨物船
  「商船」の言い方は他にnavire de commerce.  
allant:(現在分詞、ここでは形容詞として直前の商船を修飾する)
sur: pour l'Amérique, comme on faisait alors, が間に入っているため
   分かりにくいが、自動詞embarquer に連結する前置詞で、
   「embarquer sur ~ ~に乗船する」というコローケーション
   を成す.