第4教室:『仏作文』①スタンダードフランス語講座 / ②『吾輩はネコである』

『ジュール叔父さん』と『星』の学習は終了、過去記事保存しています.た.

ジュール叔父さん(51)モーパッサン作品集より(フランス語学習)


ジュール叔父さん(51)


—————————【51】————————————————

 Je  restai  donc  à  côté  de  ma  mère,  trouvant  injuste 
cette  distinction.   Je  suivais   de  l' œil  mon  père,   qui   
conduisait  pompeusement  ses  deux  filles  et  son  gendre
vers  le  vieux  matelot  déguenillé..  
    
      

——————————(訳)————————————————

 そんなわけでぼくは、この差別が不当だと思いながら
母のそばに残っていました. ぼくは目で父を追ってい
ました.父は姉たちと婿殿を。あのおんぼろ服の老水夫
の方に連れて行こうとしていました.
  

——————————《語句》———————————————
        
donc:だから、それゆえ      
distinction:[ディスタンクスィオン](f) 差別、区別、識別    
pompeusement:(副) ①大げさに、仰々しく;②盛大に    
conduisait:(半過去3単) < conduire (他) 連れて行く、
    導く [à へ]      
gendre:(m) 婿、娘の夫    
matelot:[マトロ](m) 水夫、船員  
déguenillé(e):[デグニイェ](形) ぼろをまとった、
    (名) ぼろをまとった人 


—————————≪文法≫——————————————

trouvant injuste cette distinction:
この差別が不当だと思って
injuste cette distinction が倒置されています.
普通の語順はtrouvant cette distinction injuste
[trouver + 目的語 + 属詞]が基本語順です.
ではなぜ倒置されているのでしょう.
おそらくこの手の目的語属詞は、属詞の部分が
単に形容詞として直前の名詞を修飾していると
解釈されることもあり、それを避けるためでは
ないかと思います.
「ぼくは不当な差別を見出した」と読ませたくなくて
語順を変えたのだと思います.