第4教室:『仏作文』①スタンダードフランス語講座 / ②『吾輩はネコである』

『ジュール叔父さん』と『星』の学習は終了、過去記事保存しています.た.

ジュール叔父さん(45)モーパッサン作品集より(フランス語学習)


ジュール叔父さん(45)


————————【45】————————————————

 Elles  mangeaient  d' une  manière  délicate,   en  tenant
l' écaille  sur  un  mouchoir  fin  et  en  avançant  la  bou-
che  pour  ne  point  tacher  leurs  robes.   Puis  elles  bu-
vaient  l' eau  d' un  petit  mouvement  rapide  et  jetaient
la  coquille  à  la  mer.


—————————(訳)————————————————

 女性たちは貝殻を服につけないよう、高級なハンカチ
の上に置いて、口を前に突き出して上品なマナーで食べ
ていました.それから彼女たちは小さな素早い動きで汁
を飲んでは、殻を海に投げ捨てていました.
  


—————————《語句》———————————————
                 
délicat(e):(形) ① 繊細な、優美な、優雅な;
    ❷ 上品な         
d'une manière délicate:上品なマナーで、エレガントに      
écaille:[エカィユ](f) (魚などの) うろこ
  [古] 二枚貝の貝殻      
fin:(形) 繊細な、極上の、高級な      
coquille:(f) 貝殻、殻    
avancer:(他) 前に出す;
   avancer les levres / 唇を突き出す      
en avançant la bouche:口を突き出しながら

 

.—————————≪解釈≫———————————————

Puis elles buvaient l'eau d'un petit mouvement rapide et jetaient
la coquille à la mer.

仏検でこれを和訳せよ、という問題が仮に出たとしたら
l'eau は「水」と訳しても正解にしてもらえます.
「それから彼女たちは素早い小刻みな動きで水を飲んで
は殻を海に捨てていました.」

しかし仏文学科の試験問題なら「水」と訳すと減点され
るかも知れません.そのあとの貝殻を捨てていた、と水
がうまくマッチしないからです.このくだり、すべて半
過去で描かれているので、「繰り返された」動作のはずで
す.殻を捨てる度、コップから水を飲む行為はちょっと
おかしいと考えなければなりません.eau は煮汁、ゆで汁、
フルーツの水分、果ては分泌液までもカバーします.