『星』(16)(ドーデ短編集より)
——————————【16】—————————————————
——Adieu, berger.
——Salut, maîtresse.
Et la voilà partie, emportant ses corbeilles vides.
Lorsqu' elle disparut dans le sentier en pente, il me
semblait que les cailloux, roulant* sous les sabots
de la mule, me tombaient un à un sur le cœur.
——————————(訳)——————————————————
——それじゃあね、羊飼いさん。
——さよなら、お嬢さん。
そしてお嬢さんは、空になったカゴを持って出発しました。
坂の小道にステファネットさんの姿が消えてなくなったとき
私には、石ころが、ごろごろとラバの蹄の下から転がってきて、
私の心臓めがけて、ひとつ、またひとつと、落ちてきたように
思えました。
——————————《語句》——————————————————
partie < partir (自) 出発する、立ち去る、帰って行く
※ partie を見てそのまま辞書で「partie」の箇所を
引いて 「一部」と訳した方、いらっしゃいますか?
この文は la voilà があって、ややこしいので、さもあ
りなん。 本来 voilà は 「ほら見なさい」で、その
目的語が la で、là(そこの)「彼女を見よ」 プラス
過去分詞、彼女が~(過去分詞)である(をしている)
のを見る.
普通のvoir ならpartir も不定詞のままだが、これは
もはや「見る」という概念からそれて、
ほとんど、意味を持っていない。尚、目的語を頭にもった
voici , voilà は 過去分詞が後ろに着くとき、目的語代名
詞と性数一致させます。
この単純な文に、分詞構文がついて、文章がかっこよく
なって...いるかどうか、初心者の私にはわからないが、
バランスはとれていると思います。
sabot (m) (牛や馬の)蹄